2005年度JMO本選の解答です。MATHIC会員などの手によるものなので正しい保障はありません。また、ここに載っている解答に関して我々はいっさいの責任は持たないものとします。「その答えは違うよー」などの意見ございましたら、ご連絡ください。
そのような操作があると仮定して矛盾を導く。
全ての硬貨のうち表を上にしているものの個数の合計をSとおくと、1回操作を行うごとにSの偶奇は交代する。最初はS=289、最後はS=0なのだから、操作は奇数回行ったことになる。
一方、上からi行目、左からj列目(ただしi+2jが5の倍数とする)の硬貨のうち表を上にしているものの個数の合計をTとおくと、1回操作を行うごとにTの偶奇は交代する。最初はT=58、最後はT=0なのだから、操作は偶数回行ったことになる。
これは矛盾である。■
問題は、a_(n+1)-a_nとb_(n+1)-b_nの最大公約数(以下これをG_nとおく)がnによらないことを示すことに同値。
G_nの定義より、任意のiについて、a_(i+1)≡a_i (mod G_i)、b_(i+1)≡b_i (mod G_i)である。
PおよびQは整数係数多項式なので、P(a_(i+1),b_(i+1))≡P(a_i,b_i) (mod G_i)、Q(a_(i+1),b_(i+1))≡Q(a_i,b_i) (mod G_i)は明らか(各項において合同なので、その和も合同である)。
これはa_(i+2)≡a_(i+1) (mod G_i)、b_(i+2)≡b_(i+1) (mod G_i)に同値。即ち、G_(i+1)はG_iの倍数であり、G_(i+1)≧G_iとなる。
さて、(a_k,b_k)=(a_0,b_0)なるとき、G_k=G_0である。ここで先の不等式よりG_0=G_k≧G_(k-1)≧……≧G_0となるので、途中の不等号は全て等号である。よって0≦n≦k-1についてG_nは全て等しい。一方、(a_k,b_k)=(a_0,b_0)より(a_(qk+r),b_(qk+r))=(a_r,b_r)なので、任意の非負整数qに対してG_(qk+r)=G_rである。
以上より、任意の正整数nについてG_nは全て等しい。■
【解1】
相加相乗の不等式より、(1*1*(1+b-c))^(1/3)≦(1+1+1+b-c)/3=(3+b-c)/3である。
よってa(1+b-c)^(1/3)+b(1+c-a)^(1/3)+c(1+a-b)^(1/3)≦a(3+b-c)/3+b(3+c-a)/3+c(3+a-c)/3=a+b+c=1を得る。■
【解2】
f(x)=x^(1/3)は[0,∞]において上に凸である。
よってJensenの不等式においてfをx^(1/3)、重みをそれぞれa,b,cとすると、
a(1+b-c)^(1/3)+b(1+c-a)^(1/3)+c(1+a-b)^(1/3)≦(a(1+b-c)+b(1+c-a)+c(1+a-b))^(1/3)=(a+b+c)^(1/3)=1を得る。■
方冪の定理より、GD*DX=FD*DHを示せばよい。
線分GXの中点をMとおく。∠CFH=∠CMH=90°より、C,F,M,Hの4点は同一円周上に存在する。よってFD*DH=CD*DMであり、GD*DX=CD*DMを示せばいいことになる。
GD*DX=CD*DM⇔CD*DX=CD*(GM-GD)⇔CD*GX=CD*GM
問題の条件より2GM=GX、よってGD*CX=CD*GM⇔2GD*CX=CD*GX
さらにCD*GX=(CG+GD)*(DX+GD)=CG*DX+(CG+DX)*GD+GD^2より、
2GD*CX=CD*GX⇔2GD*CX=CG*DX+(CG+DX)*GD+GD^2⇔GD*(2CX-CG-DX)=CG*DX+GD^2
2CX-CG-DX=CX+GDなので、GD*(2CX-CG-DX)=CG*DX+GD^2⇔GD*(CX+GD)=CG*DX+GD^2⇔GD*CX=CG*DX
以下、GD*CX=CG*DXを示す。
Stewertの定理を△XABに適用すると、AB(GX^2+AG*GB)=AX^2*GB+BX^2*GAとなる。さらにAX=BXに着目すると、AG*GB=AX^2-GX^2を得る。
ここで方冪の定理よりCG*GD=AG*GBであり、またAX^2=DX*CXなので、CG*GD=AG*GB=AX^2-GX^2=DX*CX-GX^2、即ちCG*GD=DX*CX-GX^2である。
よって、GD*CX=CG*GD+GD*GX=DX*CX-GX^2+GD*GX=DX*(CG+GX)-GX^2+GD*GX=DX*CG+DX*GX-GX^2+GD*GX=DX*CG+(DX+GD-GX)*GX=DX*CG=CG*DX■
部長と部下で、以下を繰り返す。
部長は、まだ誰に割り当てるか決まっていない仕事を1つ選ぶ。今までにその仕事を依頼されたことのない部下の中で、一番その仕事の能力が高い部下の中の1人に、部長はその仕事を依頼する。部下は、
・仕事を持っていないならば、部長に頼まれた仕事を了承する。
・(現在部下が持っている仕事の熱意)≧(部長に頼まれた仕事の熱意)ならば、部長に頼まれた仕事を断る。
・(現在部下が持っている仕事の熱意)<(部長に頼まれた仕事の熱意)ならば、部長に頼まれた仕事を了承する。
同じ仕事を同じ部下に2回以上依頼することはないので、この操作は有限回で終了する。この割り振り方が題意を満たすことを示そう。
部下Aが仕事uを、部下Bが仕事vをしているとする。このとき、仕事vについてAがBより能力を持っているならば、部長は割り振りのときに、Bの前にAに頼んでいるはずである。しかしAは仕事uをしているのだから、仕事uに対するAの熱意は仕事vに対するAの熱意よりも高い。よって部下は不満を抱かない。
最後に仕事が決まった部下をCとする。社長が割り当て方を提案したとき、その割り当て方においてCが仕事vを担当しているとしよう。部長は仕事vを能力順に依頼したのにLに断られていないので、部長は仕事vはC以上の能力を持った部下に割り当てたことになる。よって社長は怒らない。■