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+MATHICの歴史

最終更新日: 2001年3月9日(金曜日)


MATHICが文化祭で発表してきた科学実験の数々。とりあえず18個。実はMATHICの歴史もかいま見える。これを書くにあたって、会誌Cafe Bollweck1999年版「MATHIC実験集」をもとにした。

1994年「超伝導」

高校にMATHICという団体が誕生した。設立メンバーは45期である。この年のテーマは「超伝導」だった。マシュマロを液体窒素に入れる、などの実験をやったそうである。もはや伝説か。

1995年「波動に潜む神秘」

中学にもMATHICが47期によって設立され、49期も入会。高校との合同活動を開始する。

テーマは波動で、テーマ名は「波動に潜む神秘」であった。この年の実験は三本立てであった。

光の干渉

スリットにレーザーを通過させ、どのようになるかを見るというもの。光が強い部分と弱い部分との存在が確認できる。これが干渉であり、光が波であることの証明である。

虹をつくる

水を霧状にして出し、スポットライトをある角度から当て、虹をつくるという実験。簡単なように思えるかも知れないが、実は室内実験のため太陽光を使用するわけではないので、意外に難しい実験である。準備段階ではなかなか成功せず、開店も危ぶまれたが、当日の朝に見事成功。その後は順調にいき、結構好評だった。宣伝文句は「世界で初の実験」。

蛍光灯をレンジでチン

この実験は絶対に家庭ではやらないで下さい。

蛍光灯を電子レンジに入れると・・・、なんと光ってしまうという実験。これは電子レンジの中を飛び交うマイクロ波が蛍光灯内の気体と衝突することによって起こる現象である。

当日は当時会長だった前田先輩のハラハラドキドキさせる解説も手伝って、好評であった。

この年は優秀賞(2位)を受賞。次年への意気込みは膨らんだ。45期は引退。47期が総指揮をとる。

1996年「波動に潜む神秘U」

前年の続編。前年は光をあつかったので、この年は音を扱うことになった。終わった後で思ったが、音は実験をするにはなかなか難しいテーマである。準備段階で挙がった実験として「音でワイングラス(電球の半分でもできるらしい)を破壊する」というものがあったが、そのようなエネルギーは得るのが難しく、結局できなかった。この年の実験は下のようになる。

真空鈴

音が真空中では伝わらないことを示す最も簡単な実験。水を少し入れたフラスコ内に鈴をつるし、火にかけて水を沸騰させ、空気が抜けたところで栓をし、冷えてから鈴を振っても音が聞こえない。これはフラスコ内が真空に近い状態になっており、音が伝播しにくいためである。このことから音が地上では「空気」を伝わっていることが分かる。

音を消す

スピーカーを一対用意し、互いに波形が逆の音を出すと(発振器の+-を逆にするだけ)、音が聞こえなくなるというもの。だが、これは完全に成功したとは言えなかった。むしろ失敗だっただろう。結果は音が小さくなったような気がする、程度のものだった。スピーカーのあいだを行き来すると、確かに音が小さくなる点がある。

共鳴

特殊な金属の棒の真ん中を叩くと、共鳴が起き、いつまでも鳴り響くというもの。

「きらきら星」

共鳴現象を利用するとおもしろいことができる。ワイングラスの縁を水を付けた「きれいな」手でこすると何とも言えない美しい音がするのである。「きれいな」というのは油もきわめて少なく、ほこりなどもついていないという意味である。ワイングラスに水を入れることで音の高さを調節できる。

ついに最優秀賞(1位)と大衆賞とを受賞し、二冠達成。卒業する45期に最高の贈り物となった。

1997年「驚異の圧力」

この年は「ネタがない」ということで大騒ぎ。竹沢先輩はしばらく海外に行っちゃうし・・・。そういった中で決定したのが「圧力」というテーマ。題名はかなりもめたが、「驚異の圧力」となった。

圧力低下による沸騰

フラスコに水を入れて沸騰させた後、栓をして冷たい水をかけると、フラスコ内の水が沸騰するというもの。これはフラスコ内の気圧が下がったために沸点が下がったことによるものである。たとえば富士山の頂上では88度程度で沸騰するらしい。

マルデブルグの半球

半球をふたつ用意し、また環状にして水で濡らした画用紙を用意する。片方の半球に画用紙をのせ、アルコールを浸した綿を入れ、これに点火した後、もう一つの半球をすぐにかぶせる。すると、どんなに引っ張ってもこのふたつの半球はくっついたままになる。これは中が真空にあっており、大気圧がこの半球をくっつけているからである。

圧力による電気の発生

圧力をかけると電気を発生させることができるという実験。ライターから取り出した圧電素子を例に出したり、借り物の水晶を叩いて電気の発生を確認した。原理は結晶にある。

空き缶つぶし

これも大気圧を利用した実験である。アルミ缶に少量の水を入れ、沸騰させた後、口を冷水につっこむと、缶がグシャッとつぶれるというもの。中に残っている水をすべて出しきって蒸気が水に戻り、内面からの圧力が無くなり、大気圧をまともに受けるからである。

卵乗り

観客が参加できる形態の実験。卵をケースに入れたまま二十個程度並べ、上に発泡スチロール、ベニヤと重ねて、その上に人が乗るというもの。各卵に体重が分散されるので、卵は割れない。たとえば40キロの人が乗っても、卵一個には2キロしかかからないわけである。だが、割れては仕方がないので当日は小さい子だけに限った。二日目に高二の女学生が乗るといったときは緊張したが、無事乗ることができ、ほっとしたというエピソードもある。だが、実は緊張する必要など皆無だったことが最終日に証明された。文化祭最後の実験は人もまばらで、「最後だし」ということで当時本校英語科だったY氏が乗ったが、卵一つ割れなかった。文化祭に来た客誰もが実は乗れたのである。

噴水

@の実験で使ったフラスコを逆さまにして、先を水中に入れ栓を抜くと、圧力の差で水が勢いよくフラスコ内に流入するというもの。この実験は当日の途中で思いつき、最後にやることにした実験である。意外に客受けも良かった。

この年は最優秀賞に該当する団体はなく、優秀賞(2位だが実質1位)を受賞。また大衆賞も受賞した。

47期が引退。いよいよ49期が主導権を握るときが来た。やる気は十分だった・・・。

1998年「光の魅惑 電気の魅力」

文化祭終了そうそう、テーマは「電磁波」に内定していた。そして12月の時点で一つの実験をするという、用意周到さで準備は徐々に進んでいった。この年は実験が多かった。だが、メカニズムが難しいというデメリットがあったことも否めない事実である。

ミニ雷

これは家庭でも簡単にできる実験。本当に小さな雷が見られる。アクリル板、アルミホイル、鉄粉(釘を削った)、糊、それに圧電素子、コードを用意するだけでよい。圧電素子は先にも出てきたが、購入することをお勧めする。ただし高電圧なので注意。

アクリル板に建物・雷雲などを象って上下にアルミホイルを貼り、糊を板の上に塗っておいてから鉄粉を適当に振りかける。そしてコードで上下から圧電素子に接続し、あとは圧電素子から電気を発生させるだけでよい。うまく鉄粉をふっていれば、雷(暗くした方がよりよく見える)が見える。

これは鉄粉の粒子間を伝わる電気を垣間見ているのである(だから高電圧が必要)。

見えなくなるガラス

屈折率を利用した実験。サラダ油と試験管とビーカーとを用意する。ビーカーと試験管とにあらかじめサラダ油を入れておいて、試験管をビーカーの中に入れると・・・、試験管は見えなくなってしまう。正確に言うと、そこに試験管の存在を確認できない。

これは試験管のガラスとサラダ油との屈折率がほぼ等しいために、光が直進することによるものである。反射や屈折があるからこそ、われわれはものを識別できるということがよく分かる。

電磁調理器−宙に浮くアルミ箔

電磁調理器という調理器がある。これはものをあたためるというものであるが、アルミの鍋は使えず、鉄製のものしか使用できないという不思議な代物である。

この上にアルミを置くとどうなるか、というのがこの実験。実はスイッチを入れると、中にあるコイルが発生させる次回の影響を受けて、動くのである。ドーナツ型のアルミを丸い筒に通してやると、宙に浮くように見えるので、演示する際にはこちらを採用した。

電子レンジを襲う火の玉

電子レンジ実験の第二弾! これも絶対に家庭ではやらないで頂きたい。

今回はアルミ缶を輪状に切って、ギザギザの切れ目を入れた(王冠のような形)ものを用いた。これを底に砂を敷いた瓶に入れて、電子レンジにかけると、アルミのとがった部分のあいだに電気が走り、それが火花となって観測される。マグネシウムを燃やしたときのような、またはフラッシュのような、そんな光である。

また、同時に透明な電球を入れる実験もした。この場合は、さっきのアルミよりも美しいものが見られる。電球の種類にもよるが、紫や黄緑のオーロラのような光が見られ、徐々に変化していくのが見られる。確か、紫から黄緑に変化するのだったと思う。

これらの原理は先述したとおりで、マイクロ波によるものである。ちなみに電球にはキセノンや窒素などの不燃の気体が入っており、これにマイクロ波が衝突してそのような光となるのである。

※この実験ではいろいろと苦労した。アルミの作り方によっては成功せず、何回もやった挙げ句の果てに成功したこともあった。また、一度は電球を破裂させてしまったこともある。そういうわけで、何度も記すが、家庭ではやらないで!!!!

CDの反射光

CDはなぜ虹色に見えるか、という疑問に答える実験である。先に答からいおう。実はCDの表面には細かい溝がたくさんあり、ここに光が当たると何方向かに分かれて反射することで虹色に見えるのである。

実験としては、単色光であるレーザーを用い、それをCDに反射させて、どうなるかを見ようとした。ここで問題となるのは、いかにして反射光を観測するかである。反射光が天井に反射している箇所が何ヶ所もあるのを示すのも良いがやはり道筋を見せたい。

一日目は煙を用いた。プラスチック製半球の中に煙をため、CDを中心に置き、反射させたのである。だが、これではある角度からしか道筋が見えなかった。

二日目は水槽に墨汁を一滴垂らして同じことをした。しかし、これも明確に分からなかったようである。

三日目。なんとしても明瞭に見せたい。その時考え出されたのが、障害物を置くことである。木の板を持ってきて、反射光の前でぱたぱたと団扇のようにはたいてみたのである。するとどうだろう。明確に反射光が五本くらいあるのが見えたのであるこんな原始的な方法でできることの正直感動した。

なお、理論は難しいらしく、詳しくは分からないが、本校物理科の計算では入射角が30度のとき反射光は6本らしい。

直前の実験準備の杜撰さが響いたが、4位で無冠。47期への卒業記念は果たせず。しかし、47期引退でかなり懸念されていた割には上出来である。


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