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述語論理の入り口

最終更新日: 2001年3月11日(日曜日)


数学の本を読んでいると、「任意のεについてあるδが存在し、・・・」とか書いてあることがある。これは、「どうεを選んでもうまくδを選べば、・・・」という意味である。

たとえば、「任意の整数xについて、x = 5」と書いてあるとする。これは、「どんな整数を選んできてxと名付けても、x = 5だ」という意味である。もちろんこれは間違い。

でも、「任意の」を「ある」に書き換えると真理になる。「ある整数xについて、x = 5」は「うまく整数を持ってきてxにすれば、x = 5」ということになるから。

全称命題と特称命題

「x = 5」というひとつの数式が、前におかれた言葉によって正しくなったり間違いになったりする。文字の意味が変わるからである。だから文字の意味で数式を区別する。任意のxについて書かれた命題をxの全称命題、あるxについて書かれた命題をxの特称命題という。

ただし、「任意の」とも「ある」とも書いていない文字が数式に入っていても命題になることがある。このとき、その命題の真偽は、何の断りもなく入っている文字の値によって変わることがある。つまり、命題の真偽が数の関数になる。こういう、何の断りもなく命題に入っている文字を自由変数という。自由変数を含む命題を命題関数、述語という。

量化記号

「任意の」とか「ある」とか書くかわりに数学の記号を使うことができる。これが量化記号である。「任意の」は∀に「ある」は∃におきかえる。たとえば、「ある整数xについてx = 5」は下のように書く。(ただし、「x ∈ Z」はxが整数であることを示す。)

∃x ∈ Z: [x = 5].

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