Home Up 角の三等分作図不可能性について by いりえ

最終更新日: 2001年4月1日(日曜日)


1. Prologue

第1回目は角の三等分の作図不可能性について行った.ちなみにこれは某小冊子からの完全なパクリである。この定理は名前は有名なのに「なんだか知らんが難しい証明」ということで片付けられることがおおかったので、証明したら自分も感動するとおもい、行った.実際はちょっとした体論の知識だけですむ。

2. 作図の定義?

作図といってもえいやっと適当に引いたらたまたま三等分してました、というのは入れるべきではないので次のように定義する。

  1. はじめに2点が与えられている((0,0)と(0,1)としよう)
  2. コンパスによって円弧がかける。ただし中心と半径は既知のものを使うこと。
  3. 定規で直線がかける。ただし既知の2点を結ぶことしかできない。
  4. 平面上に点がおける。ただし既知の線の交点として定めること。
  5. (僕はこの部分が若干わからない.作図では範囲を指定すれば任意の点をとることができるようなものがあるとおもう。つまり、その範囲にあればどんな点でも結果的に求める図形を作図できるということ。ただしここでかんがえるのは作図によって点の座標の範囲を拡大していく様子なので、任意の点が有理点である場合のことを考えればよいので問題ない。)

  6. 5. 有限回で終了する.

題意をしめしたければ、たとえば30°でムリなことをいえればよいから、有理点からはじめてcos10°が作図できないことを示せばよい。(これはいいですよね?)三角関数の加法定理によって、cos10°はある有理数係数3次方程式の解になるので、作図によって三次方程式の解がつくれないことをいえばよい。作図によって四則演算が可能なので(幾何の簡単な問題)、以下知っている数たちに四則演算を加えた数全体を考える。そうするとその数は四則演算によって閉じている。そうした数の集合を体という。

3. 準備

これから、題意をしめす為にちょっと体論の一般論をやることにする。

定義:実数の部分集合Kが体とは、Kが四則演算について閉じていることである。 (Ex.有理数は体。以下Qとかく。)

じつはこの定義は嘘だけれども、(Rに含まれるということと体ということは関係ない)どうせ座標なんて実数くらいしか考えないし、演算を実数での演算の制限として定められて便利なので以下これで突っ張る。以下体といったときには実数に含まれるものをいう。

定義:Kを体とする。このときRの部分集合FがK−vector spaceとは、
@ 加法によって閉じている AK倍によってじている

この定義も本当は嘘だけれども、おなじ理由によりFに含まれるものしか考えない。いま、体F,KがF⊃Kをみたすとき、FがK−vector spaceとなることに注意しましょう。ここで、基底というものを考える。

定義:VをK-vector spaceとする。このときVの元の有限集合Gが次をみたすときGを基底という。G=V1,V2,…Vnとしよう。
1. Ai∈Kたちが、A1V1+…AnVn=0をみたす⇒Ai=0
2. v∈Vとすると、Ai∈Kたちが存在して,A1V1+…+AnVn=vをみたす。

任意のK-vector spaceに有限個の基底が存在するとはかぎらないが、無限に拡張すれば必ず存在するらしい。

定理:VをK-vector spaceとする。もしVに有限個の基底が存在すればその個数はかならず一定である。この個数をVの次数という。

定義:体F⊃Kについて、FがK上の有限次ベクトル空間であるとすると、FのK上の次数を拡大F/Kの拡大次数といい、[F:K]と書く。

定理:体L⊃F⊃Kについて、[L:K]=[L:F]×[F:K]
Ex.Q:有理数体にかんして、Q(√2)={a+b√2|a,b∈Q}はQの2次拡大体である。(基底は1、√2)

(本番では、ここに手間取ってしまった。要はFのK上の基底とLのF上の基底を掛けるだけ。)

定理:αをQ係数n次既約方程式の根とする。このとき、Q(α)はQのn次拡大体である。

(証明は、ちょっと省略させていただきます.もし興味があればGalois理論の本でも読んでみてください.)

以下、これらの(証明は思いっきり略したが)体論の超^∞基礎的な知識を使って証明をこころみる。

4. 証明の概要

ここでは、cos10°が作図不可能なことを示す.もし作図できたとして、n個のステップs1,s2,…snでできたとしよう。このとき、体Kmを、次のように定義しよう.

Km:=Km-1(Stepmであらたに作図できた座標の値) K0:=Q

さて、このとき、Knがcos10°を含まないことをいえばよいのである。さて、いまStepmで、一つの点が作図できたとしよう。このとき、考えられるのは

  1. 直線と直線の交点
  2. 直線と円の交点
  3. 円と円の交点

の場合である。座標キカで考えればAの場合は1次方程式、B,Cは2次方程式を解けばよい。よって、

[Km:Km-1]=1or2

である!したがって、拡大次数の連鎖律より、

[Km:Q]=[Km:Km-1][Km-1:Km-2]…[K1:Q]=2^k

となる。さて、ここまでくれば後少し!もしKm∋cos10°とすると、明らかにKm⊃Q(cos10°)である。このとき、KmはQ(cos10°)の有限次拡大体となるので、その拡大次数をdとおくと、連鎖律より

2^k=3・d

となる。これは矛盾。

5. Epilogue

実際はベクトル空間のところでつまづいてしまいすいませんでした.あと僕がしゃべったときcosのところをsinといいましたがあれは嘘です。Sinだと三次方程式の解になってくれません。細かいことだけど.発表者自体よくわかっていないので、まあお許しください.

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