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最終更新日: 2001年3月16日(金曜日)


歩道の煉瓦の敷き方を見ていると、こっていることがある。襖にもややこしい模様が入っていることがある。箱根細工の模様はもっとこっている。これらに共通しているのは、決まったいくつかの形で平面をどこまでも埋め尽くしていけることだ。こういうものを敷き詰めと呼ぶことにしよう。このページの背景の図も、どこまでも広がるわけではない点を除いて似ている。どんな形がどのように面を埋め尽くせるのだろうか。

多角形の敷き詰め

今は概略だけ書いておきます。

一種類の多角形を敷き詰める

三角形と四角形であれば、どんな形でも平面を敷き詰められる。5角形や6角形では、うまく形を作れば敷き詰めることができる。形はそれぞれ数種類に分類されている。7角形以上の多角形だけを使って平面を敷き詰めることはできない。

乱れによる敷き詰め

今まで見てきた敷き詰めは、どこまで詰めても同じことを繰り返している。しかし、繰り返さない敷き詰めが見つかっている。とはいえたいしたことはない。一番単純な例は正方形を格子に並べて、それぞれの正方形を長方形ふたつに切るのだが、縦に切るか横に切るかをランダムにすれば繰り返しがない、というものだ。

ただ、これでは「乱れ」の名に値しないようだ。もっと複雑な例が、参考文献1.にある。

17種類の対称性

乱れていない敷き詰めは、17種類に分類されていて、どれかにはいることがわかっている。分類するときの基準は、模様をどう動かしたときにもとのと重なるかだ。どう動かしたときにもとのと重なるか、というのが対称性ということなのだ。

エッシャーの絵

エッシャーというオランダの人がいる。もともとは建築家だったのだが、絵で有名になっている。何が有名かというと、空間内に存在できない立体を描いた絵や敷き詰めになっている絵など、機知に富んだ絵が有名なのだ。敷き詰めを語るには欠かせないと思う。エッシャーは、たしかインターネットにオフィシャルサイトがあったような・・・。

背景の図形

ページの背景の図形についてはこのサイトの紹介のページにもちょっと書いてある。それにこれはどこまでも続けられるわけではないから敷き詰めではない。でもきれいな形だと思うので、せっかくだからここでもっと詳しく書いてみよう。とはいえ、この形は僕が作ったものではない。僕は見つけただけだ。

僕がこの図形を初めて見たのは、ある展示会のパンフレットでだ。その展示会では、立体の敷き詰めを扱っていた。展示会を開いている側は数学と美術の中間当たりを狙ったらしい。そのパンフレットの最初には平面の敷き詰めのことが書いてあった。そこに、この図の形をしたペンダントの写真が載っていた。(パンフレットそのものが見つからないので出典は勘弁して欲しい)。

この図形は、まったく同じ五角形を54個くみ合わせたものだ。このように組める五角形の形は決まってしまう。5つの辺の長さは揃っていないといけないし、角度も、いいかげんに決めたのではうまくあわない。54個の五角形がすべて同じ形であるという仮定のもとに計算すると角度が一通りに決まってしまうのだ。五角形を一つ取り上げ、一番とがっている角から順にまわって内角をあげると、60度, 140度, 100度, 80度, 160度となる(角度を挙げた順番が時計回りか半時計回りかはどちらかに揃えればよい)。角度の情報があるから、もうこの図形は作図できるはずだ。ただ、定規とコンパスをふつうに使うだけでは80度や160度が作図できない。

これをもとにして

ステンドグラス的な絵この背景の五角形それぞれに線分を5本ずつ同じように書き込んだ。そして隣の五角形に引いた線とつながるようにした。すると、右の図のようになる。右の図では真ん中の正18角形の部分しか使わなかったが、周りも使うともっと複雑なパターンができるはずだ。色は勝手に付けた。

このように、敷き詰めを構成しているそれぞれの図形にまったく同じ線を入れることで、複雑な対称性を持った美しいパターンができる。いろいろな敷き詰めに試してみてはいかがでしょうか。

参考文献

  1. 伏見康治, 安野光雄, 中村義作: 美の幾何学(中公新書).
  2. ゲーデル、エッシャー、バッハ(著者、出版社は調べさせて).
ひらっち

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